エンジニアからPO、PMと転身してきた一年の振り返り

エンジニアからPO、PMへ

自分がエンジニアからプロダクトオーナー(以下PO)、プロダクトマネージャー(以下PM)と転身してきた一年の振り返りを書いてみます。POをやっていたのは前職時代の3ヶ月。その後は現在の会社でPMとして働いています。

昨年11月中頃、自分はエンジニアリーダーからPO(正式な肩書はプロデューサー)に転身しました。それまでのキャリアを変えてエンジニア職から転身したのには色々な思いがありました。自分はこれまで、良いプロダクトを生み出せるのは技術からだけと信じていました。

転機となったのは、夜間と土日に通っていた産業技術大学院大学で単位を埋めるためだけに受講した「サービスサイエンス」という科目でした。そこではビジネスになるサービス・プロダクトをどう定義すれば良いかを学びました。大学院にはもともと情報工学やその周辺の知識を埋めるために通っていたのですが、一気にビジネスにも興味が湧くようになりました。そんな折、現在の会社に誘ってくれた前々職の先輩からPMという職があることを教えてもらい、Inspiredという書籍を紹介されました。www.amazon.co.jp

それから自分はPMという働き方自体に興味を持つようになり、日々PMになるために必要なことを技術そっちのけで学ぶようになりました。その後社内転職を果たしてPOになり、最終的には自分がPMとして働ける環境はないかと思うようになり、PMとして明確にポジションのある現在の会社に転職したのでした。

PO時代

POになった時に最初にやっていたことは、それまでの開発リーダーの延長で、主にプロジェクトマネージャーとして仕事をしていました。それ以外ではヘルプデスクのサポート、事業部(仕様は基本的にここが全てROIを出して決めていた)の提案や開発タスクをドキュメントに落としてエンジニアに展開するなどしていました。エンジニア時代にも当然部署のKPIは存在していて、自分たちもある程度意識はしていたのですが、それほど数字については理解していませんでした。

扱っていたKPIは、当時の部署は広告系でしたので、CTR(インプレッションあたりのクリック割合)と広告を通してどれだけ商品が売れたかを示す広告経由流通総額が主なKPIでした。それらの数字については大まかな理解はしていたものの、CTR一つとってもプロダクトごとの細かな数字が頭に入っておらず、自分たちの作っている主要プロダクトのCTRや広告経由流通総額、加えてそこにどれだけのコストをかけてどのように運用(システム運用ではなく広告運用)されているか、市場競争力はどの程度なのかなどについて正しい理解がありませんでした。この点については改めて思い知らされて本当に衝撃を受けました。エンジニア時代もある程度理解していると思っていたKPIを自分が正しく理解しておらず、またプロダクトの改善にどのような数字が必要で、どうすれば数字が上がるのか下がるのか、何を持ってその数字の良し悪しを評価するのかが見えていなかったのです。これにはとにかく日々数字を見てそこから自分なりの考察をするということを繰り返すことをしていましたが、それは現在も続けていたりします。

また数字の話とは別に、この頃思っていたのが、エンジニアとPOの業務内容の違いでした。エンジニアはコードと向き合う時間が多い仕事だと思っています。しかしPOは開発プロジェクト全体の状況や日々の数字のチェック、上司への報告、営業とのコミュニケーションなど、エンジニアがコードと向き合うのとは逆に、コード以外の全てと向き合う仕事であると感じました。そこにはコードの外の大海原のような世界があるのだと感じました。(もちろんコードという大海原が存在することも認識していますが)

そんな具合に始めたPO業ですが、しばらくして当時のPOの役割や責任範囲について、自分が目指していたPMとは大きくかけ離れているように感じ始めました。前述の通り、事業部が決めた仕様を開発に落とし、プロジェクトマネジメントをし、ヘルプデスクサポートをする。それが必要な仕事なのは理解していたのですが、プロダクトをマネジメントをしているということではなく、開発チームやその周辺のマネジメントに終始していると感じていました。もちろん自分の力不足や理解不足もあったと認識しています。さらに、プロダクトについて考える際、エンジニアだった自分はどうしても、どう作るか(How)から考えてしまい、なぜそれが必要なのか(Why)を考えきれていなかったと思います。また、日々数字を追っている専任の担当者が多数いる中に、エンジニア上がりの自分が入っていくことの困難さも感じていました。

これらはもちろん自分の能力や知識のなさに起因することではあったのですが、組織的にもエンジニアに近い人がPMとして責任を持って役割を果たすという組織構造にはなっていないように感じていました。そんな折、現在の会社でPMとして働いていた先輩から誘われ、未経験ながら専任のPMとして働き始めるのでした。

PM時代

入社前から言われていたのですが、現在の会社のPM職はエンジニア出身者で構成されています。そして自分たちが決めたことがプロダクトに反映されていくのです。なぜそうしているかという点を考えてみると、まずプロダクトが技術的に非常に複雑だということが挙げられると思います。また、弊社はエンジニアが中途入社するのに高いハードルを設けているため、PMはそんなレベルの高いエンジニアたちとコミュニケーションが取れる人であることが望まれているからだと考えています。正直自分は今だにビジネスの話よりも技術の話の方が分かります。

そういった技術に対する理解が求められる一方で、お客様や取引先担当者様との対話も非常に重要な仕事となっています。エンジニア時代はお客様先に出向くこともほぼなかったのですが、現在のPM職になってからは、お客様先や取引先に営業と一緒に出向いて、弊社プロダクトの説明をする機会ができました。これまで接することがほとんどなかったコードの外側の声を聴く機会が増えたのです。また、自社内においても、営業や経営企画の方たちと一緒にプロダクトの方向性、プロダクトを伸ばす方法、どうすれば利益に繋がるか、短期的な施策になっていないかなどを議論しています。そしてその結果から開発計画を立て、実行し、結果を検証していく、所謂PDCAを回すというようなことをしながら日々プロダクトを成長させる方策について考えたりもしています。

こうした技術、ビジネス両面の知識や考え方が求められるPM職に就いて思うのは、自分たちはそれこそ必要であればあらゆることをやらなければならないということ。エンジニアは作り、営業は売る。PMはそれ以外全部だと思っています。ただし、会社の利益を考えて、やるべきではないことは断固やらないと決めること。これが重要なのだろうと思っています。

先月行われたPOStudy祭りで、どなたかの発表で「PMが倒れたらプロダクトは世に出ない。だからストレスをうまく処理し、自分を守る必要がある」とおっしゃっていましたが、それは非常に正しいと思いました。それだけ重い立場だと考えて、日々しっかり仕事をしつつも根を詰め過ぎないよう、自分なりに最もパフォーマンスを出し続けられる方法を模索しながら今後もPMとしてやっていきたいと思っています。